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フランスの親孝行の考え方

クリスマスに見られるフランスの親孝行の仕方

日本とフランスでは、親孝行に関する考え方が違います。
その違いが非常によく現れるのは、クリスマスの季節です。
日本では11月に入ると街がクリスマス一色に塗り替えられ、クリスマスツリーが飾られ、クリスマスにちなんだ音楽が街中に流れます。
2ヶ月近く雰囲気を盛り上げた後、25日の午後にはクリスマスの飾りが一気に片付けられて、今度はお正月モードが始まります。

日本では、クリスマスイブと言ってもカップルが一緒に食事をする程度で、家族みんなでひとつの家に集まって親孝行をする習慣はありません。
ところがフランスでは、クリスマスは家族が集まる日、一家揃って豪華な食事をして久しぶりの再会を祝ったり会話を楽しんだりする特別な日なのです。
クリスマスプレゼントを贈り合うのは2次的な習慣であって、クリスマスの本当の目的は家族がゆっくりと会話をしてみんなの無事を祝うことにあります。
どちらかと言うと、日本の数日間続くお正月がフランスのクリスマスのような感じです。

フランスと日本の親孝行の違い

日本では、他県に住んでいる両親に会うのはお正月とお盆の年に2回だけという人がほとんどです。
これに対してフランスでは、たとえ遠くに住んでいてももっと頻繁に親に会いに行く人が多いのです。
ところが面白いことに、フランスには「親孝行」という言葉がありません。
「親に敬意を表すること」「親を大切にすること」といった表現はフランス語でできても、単語としての「親孝行」という言葉は存在しません。
同時に、「親不孝」という言葉もないわけです。

フランスは日本と違い、親が年を取ったら自分を育ててくれたお礼に海外旅行に連れて行ったり、毎年プレゼントを贈るといった習慣は特にありません。
日本と比べると友だち同士のような付き合いの親子が多く、「何かプレゼントをしなければならない」といった義務感もありません。
娘が出産した時にも、日本の母親のように寝食を忘れて娘と孫の世話をするといった母親はあまりおらず、友人と出かけたり趣味に打ち込んだりしているのが普通です。

日本とフランスとでは親愛の情の示し方が違う

日本よりも親子が顔を合わせて語らいを楽しむ機会は多くても、出産などといった人生の大イベントに当たっては意外とクールなのがフランスの親というわけです。
どちらが良い悪いという問題ではなくて、習慣としての性質の違いなので、例えばフランス人と日本人が結婚した場合にはお互いの習慣の違いで少し苦労するかもしれません。
日本では親を大切にすることはあっても、悩みを打ち明けたり、よくおしゃべりをしたりする機会がないのがフランス人から見ると少し違和感があるかもしれません。